F.T.B.W.
by fuzuki-2009
A Friend
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ミャンマー、マンダレーの街。

長い旅の途中、マンダレー・ヒルの麓の門前で一人のサイカー・ドライバーと出会う。
(サイカーはこの国でのリキシャの通称)

この街に滞在した四、五日間、彼、Z.M.にサイカーやタクシーであちこちを回ってもらう。
マンダレーの街中からミングォン、ザガイン、インワ、アマラプラ、などなど。
こちらが何を言わなくても良いチケットを入手してくれ、両替しようとすれば街で一番レートのいい両替所に連れて行ってくれる。

Z.M.は敬虔な仏教徒で一緒に寺院を訪れれば熱心に祈りを捧げる。
貧しい生活の中、家族のために一生懸命にガイドの仕事で収入を得ている。
父はタバコも酒もやらないし素晴らしい人間なんだ、と。尊敬しているんだ、と。
日本人には照れ臭くて言うのに躊躇ってしまうような事も何の違和感も無く耳に入る。
貧しい暮らしが決して不幸では無い事が十分に伝わる。

街外れにある彼の自宅にも夕食に招いてくれた。
日本でなら戦前にあった集合長屋のような掘っ建て小屋といってもいい家屋。
入り際、家の横にいた数羽の鶏を指差して、
「アレ、ゴハン。」
と言って大笑いしている。

夕食は家族で囲むものと思っていたが土間脇の三畳程の床の間で出された食事は僕とZ.M.の分だけ。
暗い室内では蝋燭の灯りだけが大写しの僕等の影を揺らす。
二人が食事をする間、英語も日本語も分からない母親や妹たちはただ笑顔で給仕をしてくれていた。
ビルマ料理のフィッシュ・カレー、野菜や果物、食後のおやつまで。どれも心がこもった美味しい料理だった。

一人の見知らぬ外国人旅行者のために恐らくは自分たちが普段口にする以上のものを時間と手間を掛けて用意してくれたのだろう。
有り難さと申し訳無さとが複雑に行き来した。

数日を共に過ごし、僕が次の街へ移動する別れ際、
「I’m missing you. I never say goodbye.」
と、Z.M.。

最後に
「アナタノ、アイジョウガ、イイデス。」

拙い日本語。十分に伝わった。

Nikon F-80D - mandalay, myanmar



これは最初のミャンマーへの旅の時の話。
この数年後、ミャンマーを、そしてマンダレーの街を再訪しました。
マンダレーの街に着いて街中でリキシャマン達に尋ねまくってやっとあいつを見付けて再会した時、あいつは人間の本当の喜びの顔みたいな顔で喜んでくれました。

数日を楽しく過ごし、次の街バガンへ移動するためのフェリー乗り場へまだ夜の明けぬ早朝に僕を送ってくれる道中、あいつは僕の話に返事も出来ない程に沈みきっていた。
あいつなりにもう二度と僕と会う事は出来ないだろうと悟ったらしい。
でも僕はその時、既に三度目のミャンマー訪問を心の中で決めていた。
けれどもその事を沈みきっているあいつに伝える事はしなかった。伝えれば一気にあいつの満面の笑顔を見られる事は分かっていたけれど。

だってどんなに固く僕が三度目のミャンマー訪問を心で決めたとしても僕の環境が変わればそれは叶わないかも知れない。
それにミャンマーと言う政情の不安定な国ではいつ入国が不可能になるか分からない。だから自分の心の中でだけ決めてあいつには伝えなかった。
もし僕があいつに「また来るからな。」って軽く言ってしまえば、きっとあいつはそれを死ぬまで信じて待ち続けちゃうだろうから。
結局、最後の日、最後まであいつの表情は沈んだままだった。

けどな、今ここでなら言えるぞ。こんなブログ、お前が見ているはずもないから。
僕はいつか必ず三度目のミャンマー訪問をする!
アウン・サン・スー・チーに会いに。もとい、お前に会いに(笑)。

待ってろ、親友。
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by fuzuki-2009 | 2012-04-15 17:37 | Monologue | Comments(4)
Commented by ぽろ at 2012-04-15 19:00 x
心が浄化されていきましたよ。素敵なお友だちですね。
いつの日かの三度目の訪問、彼の満面の笑顔が見れるといいなあ!
Commented by fuzuki-2009 at 2012-04-15 19:51
>ぽろっち
コメントありがとうございます。

はい、まあ、彼と接してみれば分かるんですがちょっと日本では考えられないような善人です(笑)。
二度目の訪問での再開の時、僕に気付いたあいつが僕の名前を忘れていずに怒鳴るような大声で呼んでくれた時は僕も嬉しかったです。

必ず三度目のミャンマー訪問をします!
アウン・サン・スー・チーに会いに(笑)。
Commented by サミー at 2012-09-16 13:02 x
ご無沙汰です。
ミャンマーは今年2月に7年ぶり2度目の訪問をしましたが、すっかり「人たち」を気に入ってしまいました(笑)。
その縁あってか近々、3度目も画策中です。初マンダレーもありそうです。楽しみ!
Commented by fuzuki-2009 at 2012-09-16 14:56
>サミーさん
コメントありがとうございます。

良いですよねー、ミャンマーは。拝見しましたよ。とても素敵な旅だったのが伝わって来ましたよ。
いつもながらサミーさんは本当にたくさんの現地の人々の笑顔を撮られますね。

おおー、マンダレーも良いですよ。
近郊ではミングォンやアマラプラも中世に帰ったような魅力的な街ですのでぜしとも(笑)。

お写真、楽しみに待っていますね!
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